04 Jul 12

宮沢賢治論が

ばかに多い 腐るほど多い

研究には都合がいい それだけのことだ

その研究も

子供と母親をあつめる学会も 名前にもたれ

完結した 人の威をもって

自分を誇り 固めることの習性は

日本各地で

傷と痛みのない美学をうんでいる

詩人とは

現実であり美学ではない

宮沢賢治は世界を作り世間を作れなかった

いまとは反対の人である

このいまの眼に詩人が見えるはずがない

岩手をあきらめ

東京の杉並あたりに出ていたら

街をあるけば

へんなおじさんとして石の一つも投げられたであろうことが

近くの石 これが

今日の自然だ

「美代子、石投げなさい」母。


ぼくなら投げるな ぼくは俗のかたまりだからな

だが人々は石を投げつけることをしない

ぼくなら投げる そこらあたりをカムパネルラかなにか知らないが

へんなことをいってうろついていたら

世田谷は投げるな 墨田区立花でも投げるな

所沢なら農民は多いが

石も多いから投げるだろうな

ああ石がすべてだ

時代なら宮沢賢治に石を投げるそれが正しい批評 まっすぐな批評だ

それしかない

彼の矩墨を光らすには

ところがちがう ネクタイかけのそばの大学教師が

位牌のようににぎりしめて

その名前のつく本をくりくりとまとめ

湯島あたりで編集者に宮沢賢治論を渡している その愛重の批評を

ははは と

深刻でもない微笑をそばづゆのようにたらして

荒川洋治の詩論がとても良い - mmpoloの日記

その荒川洋治の詩をひとつ引く。荒川洋治詩集『坑夫トッチルは電気をつけた』(彼方社)から、「美代子、石を投げなさい」の4連のうち最初の2連を。

(via ginzuna)

(via petapeta)